RESEARCHPROJECT
理工学部ならではの基礎学問的な研究分野において、少数精鋭の研究者が没頭して研究できる環境を提供します。
【第4回】- 2025年4月1日現在 -
■ レア・イベントの解析に基づく力学系の研究とその数論・幾何・統計物理への応用
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- 力学系による記述や理解が考えられる現象や問題は、数学や物理学などの自然科学の枠を超えて多岐にわたる分野に存在します。本研究では、大数の法則での期待値から外れる確率を扱う大偏差原理と、最もレアな長時間平均値を扱うエルゴード最適化理論に着目して、カオス力学系の長時間挙動を解析するための一般的な手法を開発することを目標としています。そして、この手法を数の展開(数論)、測地線の漸近挙動(幾何)、相転移現象(統計物理)などの研究に応用して未知の現象を探求し、理解することを目指しています。
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KiPAS主任研究員
高橋 博樹
(数理科学科 教授)
力学系理論/エルゴード理論
常微分方程式や差分方程式(写像の反復合成)などの方程式の解の振る舞いを定性的に調べることを目標としています。最近では、統計物理の考え方と手法を用いてカオス的な力学系を解析することに興味を持っています。
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KiPAS研究員
臼杵 峻亮
(助教/有期)
力学系/エルゴード理論/数論への応用/フラクタル
単一の写像だけでなく、複数の可換な写像たちが生成する力学系のエルゴード理論、及びその数論などの他分野との関係に興味を持っています。これまでは、ある種の力学系に現れる「不変測度の剛性」にまつわる研究、及びその数論への応用についての研究をしてきました。最近はフラクタル幾何学の研究も行なっています。
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■ 角運動量流物性科学
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- 電子の流れの自在な制御は現代の電子技術・物性科学の基盤です。電子の電荷の流れ「電流」が電磁気学・半導体工学の発展と共に現代の産業を支えるようになり、これに電子スピンの流れ「スピン流」という新たな概念を加えることで、スピントロニクスは電子物理・工学に革新をもたらしました。本研究は、電子の持つもう一つの自由度「軌道」が生み出す軌道角運動量流の流れ「軌道流」という新たな概念を電子物理・電子工学の体系に組み込むことで、エレクトロニクス・スピントロニクスの延長線上にはない、新たな研究領域を切り拓きます。
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KiPAS主任研究員
安藤 和也
(物理情報工学科 教授)
スピントロニクス/スピン量子物性
ナノ領域における電子物性にはスピン・軌道自由度が顕著に表れ、電子の電荷・スピン・軌道角運動量が素励起と共に織り成す多彩な物理現象が発現します。量子力学的・相対論的現象を自在に操ることでこの学理を開拓し、既存のデバイス原理を遙かに超える新しい電子技術の物理基盤を創出します。
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KiPAS研究員
ユン ジェソン
(助教/有期)
物理/スピントロニクス/オービトロニクス
私の研究は主に、次世代のメモリーデバイスを開拓するためのスピンと軌道の自由度の探求に焦点を当てています。最近の進歩により、新しいパラダイムとしての軌道制御の可能性が浮き彫りになってきました。私の現在の研究は、ナノスケールで磁気特性を強化・制御するための追加的な自由度として、軌道工学を統合することを目指しています。
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■ ナノカーボン材料による革新的な集積光デバイスの基礎・応用研究
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- カーボンナノチューブ(CNT)やグラフェンといったナノカーボン材料は、そのナノオーダーのサイズに由来した特異な電気伝導特性、光物性、熱物性、量子力学的効果を有しています。我々は、それらを活かした赤外発光・受光デバイスやその赤外分析センシング応用、量子情報デバイスに向けた単一光子光源開発、シリコンチップ上への集積化による光電融合デバイスの開発など、ナノカーボン材料の物性解明とその光デバイス応用を目指しています。
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KiPAS主任研究員
牧 英之
(物理情報工学科 教授)
ナノ物質/ナノデバイス/材料物性
無機・有機材料を用いたナノ物質の創製やナノ物質を用いた新機能デバイス開発、デバイス構造作製によるナノ物質の物性解明に関する研究を行う。
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KiPAS研究員
山田 純平
(助教/有期)
ナノマテリアル/結晶成長/発光デバイス
特ナノ材料の結晶成長からデバイス作製、その応用まで一貫して研究することで、それに伴う新しい結晶成長手法や新機能デバイスの開発を目指しています。 最近では、ナノカーボン材料の一つであるグラフェンを用いた赤外発光デバイスの開発とその赤外分光法への応用に関する研究に取り組んでいます。
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